コントロールマリオネット

人形になっちゃうお話。
タグ:人形化 憑依 TSF 洗脳

「はあああああ!」
全身の力を込めて剣を振るう。切り裂かれた操り人形が無残に床に散らばっていく

「強いんだねぇ♪」
「終わりだマリオネッター…人形のなくなった貴様には死んでもらう」
対峙しているのは悪党のマリオネッター…人形を操り数々の犯罪を犯した罪人。

(こいつの悪事によって仲間は傷を負った…町で療養生活だ。絶対に許さない!)

いくら追い詰めても、マリオネッターは飄々とした態度を崩さない
不敵に笑み…呪文を唱え始めた…

『ソウル・ダイバージェンス!』

(聞きなれない呪文だな。だが人形を失ったマリオネッターのやることなど…!?。)
急速に見える景色が変化していく。体を動かしたつもりはないのに、どんどんマリオネッターが近づいてくる。
(体の感覚がない⁉いったいどうなって…!)
逃げようと体を動かそうとして気が付いた、温度も風も防具の固い感触すら感じない。喋ったつもりなのに声が響いていない。

「人形には魂が必要なのさ♪」
(なに?…ぶつかっ)
その言葉を理解する余裕はなかった。自分の視点が急速に下がったかと思えば、視界いっぱいにマリオネッターのカバンが広がって…
視界は闇に包まれた。

「さぁ♪かわいいお人形さんの完成だ♪」
急速に暗く深い底に沈んでいた意識が浮上してくる。眩しい…反射的に目を閉じようとするが…視界が暗くなることはない。

(なんだ…?マリオ…ネッター…?)
目の前にいたのはマリオネッターであった。ただし…自分の3倍は大きくなった姿で。
満面の笑みを浮かべ、こちらを見下していた。

いや…マリオネッターだけじゃない。周囲の岩や天井が全て大きくなっていやがる…これは…!
(俺が小さくなったのか!?)
「ピンポン♪大正解♪賢いですねぇ。」
なんて恐るべき呪文だ…。だが俺には魔法がある。隙をみて攻撃できれば…!

「クイズに正解したご褒美に自分の姿を見せてあげましょう♪メイク・ミラー!」
(鏡生成魔法?それがいったいなんだと…!?)

不自然なほど輝くブロンドの長い髪。リボンをあしらったカチューシャが装着されていた。
フリルがふんだんにあしらわれたピンクのロリータドレス。スカートが大きく広がっている。
人間ではありえない小さな身長。赤子が立ったくらいしかない。

だがこんなことはどうでもよかった。

(そんな…馬鹿な…これではまるで…)
光沢を放つ肌。柔らかさの欠片すら感じられない。
動かない表情。目は不自然なほど大きな顔からは生気があるようには見えない。
自分の体の動きに合わせて球体関節が動いている。腕を直接見ても何も変わらない。球体関節がそこにあった。

「最高だろう?一番の自信作なんだ♪」
(一体何を…)
「簡単さ♪君の体から魂を抜いてこの人形に憑依させたのさ♪その証拠に…ほら」

マリオネッターは楽しそうに指をさす。
(俺の…体…)
指の指し示す先には俺がいた。死んでない…よな?ぼんやりと焦点の定まっていない目で虚空を見つめて立っていた。
どれだけ願ってもピクリとも動きやしない。俺の体なのに…。

「大丈夫♪お仲間もすぐにお人形にしてあげるから♪貴方の体があれば簡単よ♪」
(そんなことはさせない!ファイア!)

マリオネッターが油断したその一瞬で魔法を構築。
目前に炎の球体が生成、マリオネッターの方向に発射。

「うわっ…いてて」
(よし…魔法は発動できる!これなら勝て…)

だがそこまでであった。2発目の魔法は発動しなかった。それどころか…
(体が…動かない…倒れっ…)
人形の体の動きが悪くなって…その場に倒れてしまう。先ほどまで動いていた関節はもう動いてはくれない

「体を使う魔力しかないのに魔法を使ったからだよ♪本当にただのお人形さんになっちゃったね♪」
(そんな…)

体を持ち上げられ、座らされる。関節の全てが重力に従い下に向かっている。
本物の人形と見分けはつかないだろう…

「でも大丈夫♪私はマリオネッター♪お人形さんを動かすプロなの♪」
マリオネッターの腕から糸のようなものが伸ばされる。その糸が私に伸びて…。
唐突に体が勝手に動いた。忠実な従者のように直立していた。

(体が勝手に…やめろ!)
「貴方は私に体を預ければいいの♪お・人・形・さ・ん♪」

足は勝手に進み、マリオネッターのカバンの中に移動する。体を折りたたみカバンの中で横になる。
「カバンではおとなしくしましょうね♪」
(やめっ…)

無常にもかばんは閉じられ、視界が暗くなり…思考を停止させた。

助けはもう来ない…
仲間たちは皆、変わってしまった。
少女の体躯にメイド服…無機質な肌に球体関節。
主人のマリオネッターの命令を忠実に服従するメイド人形に…。
全員全く同じ姿で、誰が誰なのか見分けてやることもできない。

自分と同じく意識はあるのだろうか…?あるなら自分を憎んでいるんだろうか…

「お仕事の時間よ♪広場に行きましょう♪」
メイド人形に動かない体を抱きかかえられて外に出る。
…やめてくれ

「ママーお人形さんー!」
いたいけな少女の声が響く。自分が人形となってしまったことを自覚するのだ。

マリオネッターの動きに合わせて体が勝手に踊りだす。ロリータドレスが揺れるのが視界に入るたびに羞恥で目を背けたくなる。

…背けることはできない。完全に支配された体は自分の意志をまるで反映しないのだ。
それどころか…

(……………)
人形らしく体が振舞うたびに意識が人形になっているのがわかる…抵抗しないで操られると思考がゆっくりと止まる…何も考えられなくなっていく…

…人形だって認めたらどうなるのだろう…人形になりたい…操られたい…かわいい人形として大事にされたい…戻りたくない…
その感情はゆっくりと心を侵食する。

(…私は人形…?)
あれ…私ってずっと人形だよね…?ただ男の人間の記憶があるだけの…
抵抗しなきゃ…なんでだっけ…?
人形劇の最中、ゆっくりとゆっくりと変わっていく…それを自覚することはない

(………)

ぼんやりする…あやつられないと…わたしはにんぎょう…
からだをまかせたらしあわせ…

心がゆっくりと消えていく…人形という存在に染まっていく。
(にんぎょう…かんがえる…へん…)
やがて自分で思考を停止させていた…

(う…ぁ…………)
目が覚める。いつも通りのショーウィンドウのケースの中だ。
もういつからこうしているのかわからない。思考がはっきりしない…。

店先に飾られて…意識が浮上しては消えて…もうずっと繰り返している。
もう起きていられる時間はほぼない…またすぐに人形になってしまう…もう戻れないかもしれない…

…れっかしないからだ…もうずっとこのまま…にんぎょう…しあわせ…

消えゆく意識の中、ぼんやりとそんなことを考え…彼は人形にという存在に染まった。