スキミングマイナンバー

マイナンバーカードを作りにた青年のお話
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20XX年、行政手続きにおける特定の個人を識別するための手段として個人番号カード、通称マイナンバーカードを導入した。

 「就職で必要とはいえ作成面倒くさいなぁ…」
 4月に就職を控えた俺、ハルヒコは就職先の企業からマイナンバーカードの提出を求められ市役所にやってきていた。
 「すいません、マイナンバーカードを作成したいのですが。」
 「でしたら、こちらのカードをあちらの機会に挿入してください」
 渡されたのは免許証サイズの白紙のカード。
至って普通の紙であり到底マイナンバーカードには見えない。
 「以前は手作業でカードを発行していたのですが、ミスが多発したので機械式に変更になりました」
 なるほど…確かに個人情報が絡む業務でミスがあっては大変だし、流出のリスクも高い。
自動化されていれば安心だな。
 「このシステムにミスはありません。このカードは自身の個人情報を絶対に正しく表示するのです」
「すごい自身ですね」
 「このシステムになってから一度もミスが生じていないのですから」
 どんなシステムでもバグはありそうなものだが…すごい技術者もいたものだ
 「ありがとうございます」
 システムに興味が沸いたキヨヒコはさっそくカードを作成してみることにした。

 カード作成機は個室の中にあった。大きさはコンビニATM程度のサイズでディスプレイがついている。
 ディスプレイには『カードの新規作成』『カードの更新』の文字が表示されていた。
 「なるほど…カードの更新もこの機械でできるのか…」
 感心しながら『新規作成』を選択しカードを機械に挿入する。
 異変はすぐに起こった
 『エラー!書き込み済のカードです。カード更新モードに移行します」
 「おいおい…いきなりシステムバグかよ…」
あれだけ自信満々だったのに…仕方ないカードを取り出して文句を入れてやろう
 そう考えたとき、機械から次の言葉が響く
 『エラー!本人認証に失敗、本人情報を変更します』
 『名前キヨミ、性別女性、年齢3歳、住所は…』
 どうやら機械はエラーで全くの別人のデータを読み込んだようだ。
 「おいおい…俺の名前はキヨミ…え?」
 おかしい俺の名前はキヨミではないはずだが…
 次の瞬間、いきなり機械が大きくなった。
 「え?何が起こって…?」
 熱い。全身がマグマに落ちたような、溶けていくようだ。
 「熱い…自分に何が…」
 朦朧とする意識の中、防犯用ミラーで自分の姿を確認する。
 「幼女…?」
 そこには全裸の幼女がいた。身長は1mにも満たないくらい、男性器はあらず、未発達な胸を携え、ショートに伸ばした茶髪がよく似合っている幼女がいた。
 『衣服の反映をします』
 なんだ…?何を言っている…?
 次の瞬間、触手のようなものが服にまとわりついてきた。そのまま布のような肌触りに変化した。股だけは例外で雲のような綿のような感触を感じる。頭にも何かを載せているようだ。
 「これじゃあ園児じゃないか…」
そこにいたのは幼稚園児であった。黄色い帽子に、ピンク色のスモック、短いスカートに黄色い鞄、白い靴下に赤い靴、胸につけられた名札には[きよみ]と書かれている
 異質なのはスカートのから教育番組のキャラクターが描かれたオムツが見えることであろうか

 「いったい何が…」
 「あなたは私たちの子供になるのよ」
いつの間にか、後ろには夫婦らしき2人組が立っていた。男女ともに40代くらいであろうか。
「子供?いったい何馬鹿なことを」
「私たち夫婦はね、ずっと子供に恵まれなかったのよ。そこで考えたわ、できないなら作り出せばいいと」
女は続ける
 「このマイナンバーシステムプロジェクトに関わった私は知ったのよ。ミスが起きていないのではなくて、ミスが発生したらオカルトで本人を書き換えているだけだと」
 普段ならどう考えても世迷言だ。だが、今の自分の肉体を思い出し黙ってしまう
 「あなたは普通の機械にカードを通したと思っているかもしれないけど、ちょっとした細工があるの。電子回路設計者である夫の作成したスキミング装置が取り付けてあってね、カードを書き換えたの」
 銀行のカードではなかったのでそんなこと考えもしなかった。
 「っ‼だが俺の記憶は残っている!お前らの子供にはならない!」
 ここから逃げて助けを呼べれば…

 「馬鹿ね。これまで秘密は守られていたのよ?」
 個室から飛び出した瞬間、気持ち悪い感覚に襲われた。
 これまでの経験、記憶思い出が書き換えられる
 窓口のおねーさんにキヨミは叫んだ
 「あのね!わたしのなまえはキヨミ!3さいなの!」
「おっ。キヨミちゃんは自分で自己紹介できて偉いねー」
おねーさんがほめてくれると、心の底からうれしい気持ちがあふれてきた
「キヨミ。おねーさんの仕事の邪魔しちゃだめよ」
 「ママ!」
 「ほらキヨミ抱っこしてあげる」
ママに抱っこしてもらうと安心しちゃう…力が抜けちゃう…
 「かわいらしいおむつですね」
 「ええ、この子おもらし癖が治らなくて…幼稚園は早かったかしら?」
ママの抱っこ安心する…なにか大事なことが抜けているような…
 「あら、言っているそばから…変えないと」
「キヨミおもらししてないもん!」
幼稚園の友達はもうパンツなのに…違う!自分は男で…
 「わがまま言わないの、ほら気持ち悪いでしょ?横になって」
「うん…」
横になったら意識が…

 「ほらキヨミ起きなさい、家ついたわよ」
目を開けると大好きなクマのぬいぐるみがあった。
 「おままごとするー!」
 キヨミままごとが大好き!
おままごとのセットがある自分の部屋に走る

「ふふふ…好きなだけ遊ぶといいわ。あなたは私たちの子供なのだから…」